NTT株の暴落は、
4月に改正NTT法が成立したあたりから始まった。
その改正案で最も話題になったのが、
日本政府が保有しているNTT株を売却する、
ということ。
ところで、
政府は、いつからNTT株を売却し始めるのだろうか?
きっと多くの方が、
すぐにでも売り始めそうな気がしてしまっているのではないだろうか。
それが、最近の狼狽売りに繋がっているような気がする。
しかし、
いくら日本政府でも、いきなり売り始めることはないと思う。
参考までに昭和の売却事例を振り返ってみる
「政府保有のNTT株売却」というと、
前回、昭和時代の民営化の際の事例が参考になる。
その時は、
1985年(昭和60年)、日本電信電話株式会社設立。
NTT法で、全体の1/3(520万株)は国が保有し、
残りの2/3(1,040万株)を売りに出されることに。
翌 1986年、1次売却(195万株、売出し価格:119万7千円)
1987年、2次売却(195万株、売出し価格:255万円)
1988年、3次売却(150万株、売出し価格:190万円)
と、1年毎に段階的に行われた。
その後、
時は平成時代になり、バルブ崩壊…
「株式市場の状況に鑑み、売却見送り」が毎年発表され、
4次売却が行われたのは、
政府所有株式4次売却
1998年(平成10年)になってから。
(100万株、売出し価格:85万5千円)
その後も段階的に売却し、
政府保有株の売却可能分の売却が完了したのは、
2005年(平成17年)。
なんと、
2/3(1,040万株)を 20年もかけて売却したのである。
ということで、
今回、残りの 1/3から売り出されるわけだが、
政府は今回も状況を見極めながら段階的にNTT株の売却を進めていくだろう。
ちなみに、
▼2023年9月現在の「NTTの大株主」
2位:日本マスタートラスト信託銀行 10.55%
3位:自社 5.99%
4位:日本カストディ銀行 4.62%
5位:トヨタ自動車 2.23%
–
この 32.25%の株の今後の行方に注目が集まっているのである。
政府のNTT株売却、今後の進行予想
さてさて、
今回、”令和の日本政府 NTT売却”に関して、
順番的に、下記の進行ではないだろうか。
・まずは、NTT法改正、もしくは、廃止。
・続いて、NTTが再構築を進める
(固定電話の全国一律 ユニバーサルサービス提供義務の緩和により、利益体質に)
・改善が見込めて、軌道に乗り始めたのを見て、
政府が売却を段階的に始める。
まあ、”本当に全部売るのか”、という争点もあると思うが…
そもそも、約 292億株も持っているのであれば、
配当だけでも、年間 約1,500億円も入ってくるわけで、
政府が、それを売却で手放してしまうのは、もったいない気もするw
昭和時代の政府保有株売却時のように、20年もかけて売却していくのであれば、
1年あたりの利益は約2,000億円で、売り切ったら終わりである。
売らなければ、1年あたりの配当金 約1,500億円でも、ずっと続いていくのである。
しかも、増配していければ、増え続けるから、1年あたりの配当も増える。
”キャピタルゲイン or インカムゲイン”のせめぎあい… …
政府のNTT株売却先は…
ところで、
日本政府が本当にNTT株を売るとして、
政府保有株の売却先は、どこだろう?
まずは、NTTが買い取っていくカタチではないだろうか。
そもそもNTTは自社株買いを今までも積極的にやってきている。
仮に、政府が約4兆円分の保有株を段階的にすべて売ったとしても、
NTTは、全部自社株買いできるくらいのレベルであろう。
NTT法改正で利益体質が整ってくれば、
さらに、買い取る余力も持てるだろうし。
この進行であれば、NTT株の暴落も防げる。
ということで、
最近では、総悲観論へと近づきつつあるNTT株だが、
意外と安全に進行していく、と私は思っている。
むしろ、総悲観論の中で日本の投資家が投げ出したNTT株を外資が安値で買い、
ポジションを増やしていくのではないだろうか?
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