バンド名「Mott the Hoople」の意味とは?

Mott the Hoople(モット・ザ・フープル)A rolling stone gathers no moss

前回の記事「The Rolling Stones「Bitch」とMott the Hoople「Rock and Roll Queen」の類似性をめぐって」で取り上げたバンド「Mott the Hoopleモット・ザ・フープル)」。1960年代末に結成され、後にグラムロックの旗手として脚光を浴びた英国のロックバンド。最近、私はあらためて彼らの楽曲を聴き直して楽しんでいます。

聴いている中でふと思ったのは、そのバンド名。「そもそもMott the Hoopleってどんな意味なのだろう?」と。

小説から飛び出した名前?

関係者によれば、当初バンドは「Silence」として活動していましたが、デビューを前に改名を検討。そこへ登場したのが音楽プロデューサーのガイ・スティーヴンス氏。スティーヴンス氏は、ウィラード・マヌス著の小説Mott the Hoople』(1966年)を手に取り、「このタイトルこそ新しいバンド名にふさわしい」と提案したのだそうです。

この小説は、田舎町の退屈な暮らしに倦んだ男が、奇妙で風変わりな人生観をもって生きる様子を描いた作品で、タイトル自体に特定の意味はないとされています。しかし、その響きは他に類を見ず、スティーヴンス氏は「一度聞いたら忘れられない」と太鼓判を押したのだそうです。

当時のメンバーは当初難色を示したものの、最終的には「記憶に残る名前」という理由で採用を決定。後にボーカルのIan Hunter(イアン・ハンター)は、「自分たちでは絶対に思いつかない。意味不明だけどインパクトは抜群だった」と振り返っています。

この奇妙な名を冠したバンドは、1972年にデヴィッド・ボウイ提供の楽曲「All the Young Dudes」で大ブレイク。以後、ロック史に確かな足跡を残し、「Mott the Hoople」というフレーズ自体が時代を象徴する符号となり、今でも世界中にその名を轟かせています。

一見無意味にも思える言葉が、プロデューサーの直感と文学作品の偶然の出会いによってロック界に響き渡った。奇抜さゆえに人々の記憶に焼き付いたその名は、今なお音楽史の中で異彩を放ち続けています。

実は「転石 苔を生ぜず」の意味合いも?

Mott the Hoople(モット・ザ・フープル)A rolling stone gathers no moss

さてさて、表向きのエピソードとしては、小説のタイトルからヒントを得た、とされるMott the Hoopleの名前の由来。しかし、さらに深掘りして考察してみると、実は「転石は苔を生ぜずA rolling stone gathers no moss.)」ということわざに由来するという考えも浮かんできます。

私が2007年の記事でも書いたように、「転石は苔を生ぜず」というと、日本ではマイナスの意味で捉えられることが多く、何かに打ち込んで力を行使しないと、なにも身につかない、的な意味。しかし、欧米では、真逆にプラスの意味で捉えられ、活き活きと転がって生きていけば、苔をつけずにいきいきとしていける、という意味。

The Rolling Stonesのバンド名には、そのものズバリ、この言葉が名付けられています。

やはり、Mott the HoopleにはThe Rolling Stonesと深い親和性があるのではないでしょうか?

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